第8期活動報告 The Report on the 8rd period

代表挨拶

 法政大学社会学部の関口美穂です。2013215日~38日、8期の渡航を担当教員である西村正雄教授、WAVOCの教職員の皆様、旅行会社の林雄一さん、JICAの米山理事長、新井さん、舘野直子さん、翻訳をしてくれた東京外語大学の皆様、そして現地での通訳や活動のサポートをしてくれたボビー、タダン、スヴァン他、たくさんの方々の協力の下無事終了することが出来ました。メンバーだけではなく、この方々の力がなければ、この8期渡航はできませんでした。ありがとうございます。

 

 今回の活動では、前期と同様にノンヴィエン小学校、ノンサ小学校の2校で活動を展開しました。「チャンパサックの内発的発展のため人々の内面的成長を促す」という長期目標の下、私たちもラオスの人たちも子どもたちの成長とラオスの発展のために何ができるかを考え、押し付けの支援にならない活動を考えてきました。主に、暗記教育が主流の小学校での教育現場で、理科実験を通して子どもたちの自分で考えて答えを見つける姿勢を体感してもらう「思考力養成班」と、前期の調査をもとに手洗いと歯磨きをより定着、継続してもらうための「衛生班」の2班構成で授業を行いました。また、JICAのプロジェクトを見学させていただいたり、お話を伺う機会を持たせていただいたりと、今後のこの団体の活動をよりよくするためのヒントをいただくことが出来ました。

 

 私たちの活動はラオスの人たちにとっていい影響や将来の夢を探すきっかけとなっているのでしょうか。今回の活動で、家庭訪問や授業参観、授業後の茶話会で、親や先生など、大人の意見を聞く機会を多く持ち、子どもたちにとって、半年に一回来る私たちが特別な存在となっていることを知りました。私たちの車が学校に来るだけで外を見てそわそわし、授業への態度もいつも以上に集中するそうです。恥ずかしがり屋の彼らがそんな風に私たちが来るのを、今回の授業を楽しみにしてくれているのかと思うと、この小学校で活動してきてよかったなと実感します。今後も良い絆を大切にし、私たちもラオスの人々も一緒に子どもたちの成長を考えより良い活動にしていきたいと考えています。

 

 最後に、半年間一緒に走り抜けてきた8期メンバーには頼りない自分を支えてもらうばかりでした。メンバーの協力と一人一人の思いが今回の活動を良いものにできました。このメンバーと一緒に活動できたことに心から感謝しています。

関口美穂

活動理念・活動目標

7期の活動理念と目標を8期でも引き続き大切にして、活動してきました。

それぞれに込められた思いは、7期報告書をご覧ください。

 

 

理念『共に考え、共に感じる』

目標『チャンパサック県の内発的発展のために、人々の内面的成長を促す』

班紹介

 ―8期衛生班―

衛生班班長:小野寺萌

 

 

 8期衛生班では、手洗い歯磨きについての授業をしました。7期に行った調査により、歯磨きは123回、手洗いも16回以上している子が半数以上という結果が得られたため、手洗い歯磨きの習慣はついていると判断しました。そこで今期は、「手洗い・歯磨きの正しいやり方を定着させ(教えるだけ、理解してもらうだけではない)、衛生意識にアプローチする」という目標を掲げ、授業を行いました。手洗い歯磨きは、ただするだけではなく、正しいやり方、正しいタイミングでやり続けてこそ意味があると考えたからです。

 

1日目:手洗い

①手にはバイ菌がいっぱい!!

「手には目に見えないけれど、バイ菌がいっぱいついているんだよ。だからバイ菌を落とすために手を洗おうね。」ということを教えるために、ラメパウダーをバイ菌に見立てて、それを手につけてもらいました。

そしてその手で友達に触ったりバナナに触ったりして、自分の手についたバイ菌は人や食べ物に移るということも体感してもらいました。


②正しいやり方で手を洗おう!

手についたバイ菌も、正しいやり方で洗えば落とせるということを知ってもらうために、「手洗い歌」を歌いながら振り付けどおり手を洗いました。

手についていたラメパウダーがきれいに落ちたことを体感し、正しいやり方で手を洗うことの大切さを感じてもらいました。

 

③手を洗うタイミングはいつだろう??

手を正しく洗えていても、正しいタイミングで洗えていなければ意味がありません。

そこで、「家に帰ったとき」「食事をする前」「トイレのあと」「動物や昆虫に触った後」「料理をする前」という5つのタイミングを教えました。これらのタイミングを覚えてもらうために、何度も繰り返し声を出して読んでもらいました。

①ラメパウダーをばい菌に見たてる
①ラメパウダーをばい菌に見たてる
②手洗い歌と共に、正しい手洗いをしよう
②手洗い歌と共に、正しい手洗いをしよう
元気よく手が上がるようになりました!
元気よく手が上がるようになりました!

2日目:歯磨き

①歯には汚れがいっぱい!特に汚れているところはどこだろう?

歯磨きをしないでいると歯に汚れが溜まって虫歯になってしまいます。まずは歯が汚れていることを実感してもらうため、スーンメンバーがテスターをして歯を赤く染めました。そして特にどこが赤くなっているかに注目してもらい、汚れの溜まりやすい場所を学びました。

 

 

②正しいやり方で歯を磨こう!

歯の模型を使ってデモンストレーションをしながら、みんなで歯を磨きました。「歯磨き歌」の順番で歯を磨くことで正しい磨き方の定着をはかりました。

中には、歯を磨き終わりうがいをするとその水がとても濁っている子もおり、歯をきちんと磨いていない子もいるのだということを感じました。

 

 

③タイミングを覚えるゲーム

歯を磨くタイミング「毎食後」と、1日目に学んだ手洗いの5つのタイミングを定着させるためのゲームを、○×ゲームのような形で行いました。とても盛り上がり、子供たちが体を使うことで楽しくタイミングを覚えられたのではないかと思います。

 

②歯の模型を使って正しい歯磨きを知ろう
②歯の模型を使って正しい歯磨きを知ろう
②実際に歯を磨いてみよう
②実際に歯を磨いてみよう
③大盛り上がりのタイミングゲーム
③大盛り上がりのタイミングゲーム

 その他

 今回衛生班では、2日目に授業参観を行いました。来てくださった親御さんはとても楽しそうに授業を見てくれ、時には発言をして授業を盛り上げてくれました。これからも衛生教育を行って欲しいという言葉を直接親からもらえたことは、衛生班としてとても嬉しいことでした。

また、手洗い歯磨きの正しいやり方やタイミングについて書いた衛生冊子を作り、親と先生に配りました。家庭や学校で親、先生に手洗い歯磨きを促してもらうことで、私たちの目指している手洗い歯磨きの「定着」を実現させられるのではないかと思っています。

 

反省

 全体を通して分かりやすい授業ができましたが、それゆえ高学年の子供たちには少し物足りない授業だったのではないかと感じました。しかし、衛生教育は繰り返し、そして継続的に行っていくことで成果が見えてくるのだということを改めて実感した期となりました。

8期思考力養成班―

 

 思考班班長:飯川桃子

 

思考班の目標*

・考える力を養う

・受け身の暗記ではなく、「疑問→実験→わかる」の自発的な勉強スタイルの授業の提供

 

 上記の目標に沿って、今回は音についての授業をつくりました。子供達は「音の正体は何?」の疑問について実験をし、「音は振動で聞こえる」という答えにたどりつきます。最後にワークシートで授業の絵や感想を書き、「疑問→実験→答え」の流れをより感じてもらいました。

 

 

 

*1日目*

 

①【導入】糸電話で話してみて、疑問に思ったことを発表しよう!

  →「糸だけなのになんで音が聞こえるの?」など様々な疑問を発表してくれました!

   (ラオスの子供もきっかけがあれば疑問を持つことができる!!)

 

②【実験】楽器(ストロー笛、輪ゴムギター)を作ったり、トライアングルを鳴らしたりして、疑問の答えを探そう!音の正体は何かな?

  →ストロー笛は子供達も作ったことがあるようで、簡単に作れました!

「フゥースゥックネーオダイ?(どう感じる?)」と聞くことで、子供達は音が振動によって出ていることに気づきました。楽器を作ったことがあっても、その仕組みは知らなかったからとても良かった、と先生からも好評価でした。

 

③【まとめ】音の正体は何だったかな?発表しよう!

  →ほとんどの子供が3つの楽器の実験を通して、音は振動で聞こえていると気づいたようで、そのように発表してくれました。本当の答えは教えず、答えについて考えてくるのを宿題にしました。

 

②音の正体を探るため、輪ゴムギターをつくる
②音の正体を探るため、輪ゴムギターをつくる
②トライアングルを初めて見て、鳴らした子供達。
②トライアングルを初めて見て、鳴らした子供達。

*2日目*

 

①【答え発表】宿題だった疑問の答えを再度聞いてから、本当の答えを発表。

音の正体は振動でした!

 

②【確認の実験】答えは本当にあっているか、糸電話を使って確認しよう!

 →導入で使った糸電話を再度用いて、糸が震えていることを確認。導入の時に各自が持った疑問をここで解消&体感・理解します。また、4つのコップを使った糸電話でも、振動が伝わって音が聞こえることも確認。子供達は「ダイヂン!サン!!(聞こえる!震えている!)」と目を輝かせて報告してくれました。先生たちも糸の震えには驚いていました。

 

③【まとめ】ワークシートを描いて「疑問→実験→答え」の流れを復習しよう!

  →私達が用意した見本がなくても、子供達はそれぞれ一生懸命に実験の絵を描いてくれました。みんな上手!45年生用のワークシートには感想の欄があったが、ほとんどの子が感想を書けていました。3年生でも自分から感想を書きたいと言って、絵の下のスペースに書いている子も何人かいました。

 

④【発表】ワークシートを見ながら、授業でやったことを発表しよう!

  →答えにつまって黙ってしまうのでは…などと危惧したこの発表でしたが、質問をかみ砕いて用意して行ったこともあって、子供達は自信を持って発表してくれました。自分の描いた絵を見せたり、感想を読み上げたりする様子は、恥ずかしがりながらも、嬉しそうでした。

 

⑤【まとめ】身の回りには様々な仕組みがあるから調べてみよう!今回の音については教科書でも扱っているよ!

②糸が震えているか、真剣に確認する様子
②糸が震えているか、真剣に確認する様子
②聞こえるかな?震えているかな?
②聞こえるかな?震えているかな?
③実験の絵や感想を書こう
③実験の絵や感想を書こう
③一生懸命絵と感想を書いてくれた5年生の女の子のワークシート
③一生懸命絵と感想を書いてくれた5年生の女の子のワークシート