○ ○ ○ 教育分野 ○ ○ ○

【衛生教育】

 「スーン」ではこれまでの15回の渡航中6回にわたって、“トイレ管理”や“手洗い習慣”“歯磨き習慣”などの衛生面の課題に対して継続的にアプローチしてきました。手洗いの意義を伝える紙芝居や、正しい手の洗い方を伝える「手洗い歌」や、正しい歯の磨き方を伝える「歯磨き歌」を作り、衛生意識の大切さを子どもたちにもわかりやすいように伝えています。

 

 7回目の渡航の際には、現地の衛生状況や衛生意識を詳しく知り、より良いアクティビティにするために衛生調査を行いました。その結果を基に、私達ができることとその意義を確認しました。8期では、手洗いと歯磨きの正しいやり方を中心に、子供達の親もまきこんでのアクティビティをつくっています。

 

 また、株式会社三菱ケミカルホールディングス様の協賛のもと、作製した「手洗い歌」のVCD(Video Compact Disk)をチャンパーサック県内の小学校へ配布することができ、スーンの「手洗い歌」はラオス国内での普及の道が見え始めています。

 

【理科実験】

 ラオスの小学校で理科実験をおこなう理由には、もちろん現地では物がなく、理科実験ができないから、という理由もあります。しかし一番は、現地でおこなわれている暗記教育とは違う、疑問に対して試行錯誤し考える中で答えを見つける授業を提供することで、子供達が考える力をつけることを目標としています。

 例えば、2011年夏では空気砲。2012年春ではジャイロ。2012年夏では水溶液。そして、2013年春では楽器作りと糸電話を使って音についてを扱う予定です。

 

 

【文化・地域教育】

 私たちの活動しているチャンパーサック郡では、2001年に「ワット・プー(Wat Phou)遺跡」が世界遺産リストに登録されたことを契機とした急速な観光地化と外国文化の流入が発生しており、地域固有の伝統文化や生活様式の衰退が懸念されています。

 

  そこで、第1期渡航においては文化教育を目的とした異文化交流のための親睦会を開催しました。日本の文化を紹介し、異文化と直接触れ合う機会を提供し、そこから自分たちの文化の大切さを感じてもらおうと考えたこの企画は子どもたちにも好評でした。 

 

 第7期渡航においては私達が日本の文化を紹介し、そのあと子供達が家で親に聞いて調べてきたうえで、自分たちの住んでいる地域のことを私達に紹介するというアクティビティをしました。

 

【世界遺産教育】

 世界遺産ワット・プーのグローバル的な価値を現地の人々にも正しく理解してもらうための第一歩として、各国の世界遺産を紹介する劇を小学校で上演しました。他国の世界遺産の写真や民族衣装を提示しながら、世界遺産にもいろいろなものがあること(文化の多様性)を伝えることで、世界遺産の素晴らしさをわかりやすく知ってもらおうとした企画です。


 さまざまな世界遺産を視覚的に感じてもらう工夫を凝らしたこの企画では「今まで知らなかった世界中の遺産をたくさん見ることができてよかった。」と、子どもたちのみならず、学校の先生方にも好評価をいただきました。

 

 

【環境教育】

 村のポイ捨て撲滅を目標に、現地のゴミ問題へのアプローチを第2期渡航からスタートしました。子どもたちのゴミに関する知識を確認するクイズ企画や、子どもたちと一緒にポイ捨て撲滅の啓発ポスターを作り、村の大人や観光客にもゴミへの意識を持つように呼びかけました。

 

 2010年夏渡航では、実際に土に還らないゴミを埋めるアクティビティを行うことで、ポイ捨てされたゴミが消えずに残ってしまうことを教えたり、他の地域や国が抱えているゴミ問題の映像を見せたりすることで子どもたちの環境意識の更なる啓発をねらいました。

 

 

【文化調査】

 2010年夏の渡航で、スーン初の試みとなる文化調査を実施しました。彼らとより近い目線、同じ目線に立つため、彼らの価値観・考え方を探るため、今後の支援のデザインの礎とするため、普段の小学校を飛び出し、村のお年寄りや、伝統的な織物文化を今も守り続ける村人に対するヒアリング調査を実施しました。


 その中では、子どもたちとの触れ合いだけでは得ることのできない興味深い話を聞くことができ、彼らの持つ文化的要素に少しだけ触れることができた気がします。